1.平成27年〇月〇日
出勤した途端に弁護士出身審判官に矢継ぎ早の報告を貰う。
A事件関連事象の結果を待って動く方針であるので、長期フリーズということになり、「今事務年度が始まってまだ1か月しか経過していませんが、来事務年度に大橋さんに引き継ぐことになりますので、よろしく。」と半分冗談で言われた。
B事件については原処分の解除が正式決定したそうで、取下げ又は却下となる。
総括審判官から、〇月〇日の午前中に本部の畠山所長との面談が入るので予定をしておくようにと言われた。
前事務年度京都支所にいた弁護士出身審判官が、「大阪本所は証拠番号をもう打つのか?」と聞かれたが、A審査官の話では、本所は早めに打つらしい。
京都支所では、審査請求人本人が閲覧請求したときに「なんでナンバリングしているんだ?自分に不利な証拠を採用して棄却しようとしているのではないか?」と指摘する可能性がある審査請求人がかつていたとかいないとかで、できるだけ終盤にするとのことだった。
A審査官の勤務経験のある神戸支所も、どちらかというと審理の後半のイメージがあったようだが、大阪本所は提出された瞬間からナンバリングして合議体に回付するというイメージらしい。
すると、最終的な一件書類のナンバリングが欠番になる可能性が避けられないため、A審査官はナンバリングの予定表を兼ねる証拠目録を作成して管理し、最終的にいきなり欠番にならないようにしているらしい。
関連して、大阪支部は当初合議の時期が他支部よりもやたら早いらしい。
その一方で、大阪支部のような大規模支部であっても、最終的に決裁ラインが1本になって渋滞を惹き起こす可能性があることから、議決から裁決までの時間を長く確保しておくために、あらかじめ法規審査部門において裁決時期をスケジューリングしてあるそうだが、小規模の支部は決裁ラインの渋滞がなく法規審査の時間をそれほど確保する必要性がないため、むしろ議決までの時間が長いそうだ。
2.法規審査担当者との打ち合わせ
9時20分頃に、弁護士出身審判官に「Outlookで9時半からの打ち合わせのアラームがなったが。」と言われたが、A事件の審理部との打ち合わせを完全に失念していた。
慌てて第3合議室に行き、スケジュール、議決方針、主張整理などについて説明した。
正確には、弁護士出身審判官がすでに作成していた争点の確認表、議決書案の骨子について説明してもらい、A審査官にフォローしてもらった。
審理部の担当者は「前回の打ち合わせメモで『両論併記』とか書いてあったのでどうしたものかと思っていたが、合議体の方針が決まっているということで安心した。」と言っていた。
主張は、前事務年度の担当審判官の整理ではなく、法令解釈と事実認定の主張を分けて3頁程度に整理して、法令解釈を中心にコンパクトに説明するということになった。
「あまり審判所が踏み込んだ判断をしない(裁決書で表現しない)方が良いのでは?」という意見も出た。
書籍の回覧が回ってきたが、大阪本所は月1回でまとめて回覧され、その場で詳細な内容を確認することは不可能である。
その点、支所はその都度回覧で、関心のある部分はその都度読めて恵まれていたようである。
昼休みに、弁護士出身審判官とA審査官が京都支所、神戸支所勤務当時の苦労話を話していたが、「議決書が書けない人の尻拭いをするのは大変だよね・・・という内容で、満足な議決書が書けないと自認する自分は愛想笑いをしているしかなかった。
弁護士出身審判官が、「閲覧請求で、証拠を収集したが、その後不要と判断して返却したら閲覧させなくて良い(占有だけでは閲覧請求の対象ではなく、書類の保管があって初めて対象となる)ようだが、それで果たして良いのだろうか?」とA審査官と自分に問題提起していた。
自分としては「閲覧請求の時点で見せるものがないのだからしょうがないのでは?」と思ったが、一旦証拠を受領してしまったら、それは審判所が把握しているものだから閲覧させないといけないのではないかというのが弁護士出身審判官の考えのようだ。
3.不服申立制度改正対応プロジェクト
弁護士出身審判官が不服申立制度改正対応プロジェクトを兼務しているB審査官から「制度改正のマスキング対応の件で手伝ってくれ。」と言われたようでホイホイ対応していたら、総括審判官から待ったがかかったらしい・・・「俺を通せ」ということだろうか?
また、京都支所の総括審判官から、過去に弁護士出身審判官が担当した事件についてフォローしないといけなくなったようで、先ほどの例があったため「しかるべきところを通してくれ。」ということで総括審判官に連絡があり、了解した総括審判官に「しっかりやってください。」と言われていた。
内容は、弁護士出身審判官が関与した事案について、所内の意見交換会の資料の作成をしないといけなかったようだが、現在も支所にいるC審査官では対応が難しいということで、弁護士出身審判官にSOSが来たようで、自分にも「内容をざっと見てください。」と言われて字面についてだけ指摘した。
4.所長会議の意見募集
総括審判官から、本部で開催される各地域の審判所長と次席審判官を集めた会議の議案についての意見募集のメールが来たが、前事務年度の神戸支所では当時の総括審判官(現在の支所長)が一手にやっていたので、何をどう答えたら良いのかもわからない。
たとえば、
・国税不服申立制度の改正後は、審理手続の終結通知をすることから、終結(≒議決)から裁決までの期間が全ての事案で明らかになるところ、議決から裁決までの期間が長期のものについては、支部への係属件数や事案の難易度に拘わらず、法規審査担当における審理期間のみをもって、合議体の議決書を法規審査担当が変更している(国税通則法の要求する「議決に基づく裁決」になっていない)のではないかと外部に疑念を抱かせる可能性があり、法規審査担当の確認期間等を確保するための方策について意見を求めるもの。
・国税不服申立制度の改正後は、原処分庁の任意提出証拠のみならず、担当審判官による職権収集証拠も閲覧対象になるが、職権調査した結果争点外事項に係る証拠を入手した場合に現在はどのように対応しているかについての意見を求めるもの。
などがあった。
全部は無理でもいくつかは回答しないとやる気がないと思われるので、考えなければならない。