【0296】民間出身国税審判官の或る日の日記(その53)

1.平成27年8月〇日

夏季休暇を取り終えて久しぶりに全員揃う。
この職場は、お盆を越えてから「そろそろ本気出そうか。」みたいな雰囲気があると弁護士出身審判官が過去に言っていたな。
定時前から中央のソファーで総括審判官が主任審判官に何か言っているが仕事関係でないことのようだ。
コーヒーなどを揃える予備室には、部長をはじめ先週休暇者のお土産が並んでいて、さながら物産展の試食コーナーのようである。
部長が2部門の島に来たが「先週はガラガラで仕事が進んだでしょう。明日の月曜会(副審判官以上が出席する週例会議)で聞きますわ。」と弁護士出身審判官に冗談を言っていた。
推計課税事件で所長の決裁が下りていたが、①税理士以外の立会い、②理由開示の不備、③推計の合理性、④仕入税額控除否認という推計課税おなじみの論点である。
推計課税でもっとも納税者にとって痛いのは④ではないかなと思うくらいである。
交通講話の時間変更を言いに来た庶務担当副審判官が主任審判官の席に無意識に座ろうとしたら主任審判官が戻ってきて慌てて立っていた。
審理部の裁判官出身審判官を税務職員の期別に準えれば、国税専門官でいえば39期、普通科であれば64期相当と知った。
ということは、自分よりも14歳も年下ということになるのだな。
本部所長面談は10時40分からの開始になった。
トイレの帰りに神戸支所長(前事務年度の総括審判官)にバッタリ会うが、評価者研修で来ていたのだろう。
神戸支所は、審査官の病欠により審査官2名で回していて、やはり大変だったようで、先週も支所長とC審査官が事件の進捗について打ち合わせしていたそうである。
A審査官とB審査官が、一般職員のハラスメント研修で中座する。
管理係長からのメールで大阪支部版の裁決書形式チェックのためのシステムをリリースしましたとあったが、「何かあれば(IT関係が得意な)A審査官まで」というなお書きが添えられていた。
どの事案かわからないが、マスキングの起案についてA審査官が主任審判官に決裁を回していた。
裁判官出身審判官が、裁判所書記官出身のB審査官に「17時30分に所長室に所長を迎えに行くので、まず自分の部屋(審理部)に来てもらえますか?」と言われていたが、法曹関係の飲み会なのだろう。
1部門の庶務担当であるD審査官がコーヒーメーカーを洗っているときに割ってしまったようであるが、D審査官が負担するのか、審判部の互助会の剰余金で負担するのかといった話をA審査官とB審査官がしていた。
大阪国税局OB税理士の二世の集まりである桜志会の会報が配付される。

2.平成27年8月〇日

月曜会は、行政文書ファイルの更新・情報公開事務(特にマスキング)・本部所長の視察時の講話は留守番のE審査官以外は全員出席、人間ドック・インフルエンザ予防接種という内容だった。
部長訓示は「争点を絞り込むことが大事」「不服申立制度の改正広報で民間出身の国税審判官に講演依頼があるかも。」ということだった。
担当するA事件の代理人から反論書が到着したが、特に目新しい主張はないようだが、原処分庁がいちいち反応すると、請求人の主張も止まなくなるので困る。
意見書提出依頼を庁舎内の原処分庁担当者にA審査官に使送してもらったが、担当審判官である自分は行かなかった。
人事評価システムを作って運用しても、結果的にはほとんど人事評価に差がつかないのでどれだけ意味があるのかという気がするが……。

2.平成27年8月〇日

昨日の人事評価について、弁護士出身審判官が「業務目標以外の取組みって何か書いた?」と聞かれたが、自分は税理士会からの講演需要の発掘という点を書いた。
副審判官も記載に苦戦しており、何とか捻くり出して目標の記載を修正してから、主任審判官から「修正しなくても良い(今回は前任の総務課長当時の目標で良い)」といわれ、修正した記載を削除しようと思ってもできず、結局審判所本部マターという大事になっていた。
総括審判官が「何でシステムのためにアナログの人間が何人も動かないといけないんだ。(IT関係が得意な)A審査官、作り直してやれ。」と冗談を言っていた。
自分については、業績目標の記載が欄外に溢れて別紙になっていることをいうと、総括審判官から「溢れる気持ちはわかるけれどほどほどに。」といわれた。
自席の後のフリーデスクでは、1部門のB事件につき、1部門の弁護士出身審判官が審理部の審査官と白熱した議論をしているが、本部照会の結果が返ってきたのだろうか。
事件主担者である庶務担当副審判官は間に入って大変だろう。
自分は、担当するA事件についても言えるかもしれないが、何か長いものに巻かれている感じがする。
裁判官出身審判官が、「2部門の飲み会に便乗したい」旨を重ねてB審査官に言っているようであり、主任審判官が計画するようである・・・来週は民間出身の国税審判官の飲み会もあるのだが。
弁護士出身審判官が担当するC事件の事件検討会について、合議体としては裁決日程だけをしたいのだが、次席審判官が事件の内容自体に関心を持っているようであり、「中身の話になったらいやだな~」と言っていた。
弁護士出身審判官が当日の次第を作って配付してくれた。

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