【0018】退職手当

1.国家公務員の退職手当の計算式

民間出身の国税審判官は原則として3年間の任期付職員ですが、退職手当の支給対象です。

基本の計算式は、
基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給割合)+調整額
です。

民間出身の国税審判官は、任期中に国税プロパー職員のような定期昇給はなく、人事院勧告による俸給表(給与テーブル表)の改定がない限りは、採用時の俸給がそのまま適用されます。

2.民間出身の国税審判官の例

例えば、「令和元年7月9日に3年間の任期終了で退官する民間出身の国税審判官」を例として、退職手当を計算してみます。

上記計算式の「俸給月額」は任期付職員法7条1項規定の俸給表によりますが、民間出身の国税審判官は、一律に「4号棒:533,000円」が適用されます。

次に、「支給割合」については、勤続年数11年未満の「定年」の場合と同様に、「0.837×勤続年数(3年)」が適用されます。

そして、「調整額」は、いわゆる管理職加算の性格を帯びており、退職直前の60か月間について、税務職俸給表3級以上の者に対して、1か月当たり級別の所定額が加算されるものです。

3年任期の場合には、まるまる60月間に収まりますので、任期中の全ての期間が加算の対象となり、民間出身の国税審判官は税務職俸給表7級(小規模税務署の署長級)相当(1か月当たり54,150円)ですので、「調整額」は以下の算式で計算できます。

54,150×0.5(※1)×37か月(※2)=1,001,775円
※1 勤続年数5年未満の場合は半分となります。
※2 月単位で算定され「平成28年7月」から「令和元年7月」まで勤務していますので、「37か月」とカウントされます。

最終的な退職手当の金額は、
533,000×0.837×3+1,001,775=2,340,138円
となります。

国税プロパー職員からは「任期3年で230万円以上ですか。ワシらよりも割が良いですな。」と言われ、税理士(公認会計士)さんからは「任期3年で230万円以上ですか。じゃあ、40年間勤務した国税プロパー職員は3,000万円以上貰っているんですか?」と言われます。

民間出身の国税審判官は「任期の期間=管理職加算期間」であることから、結果的には任期の期間の割には退職手当が良いことになります。

3.国税プロパー職員の退職手当水準

国家公務員の退職手当は、民間の退職金の水準の切り下げに後追いする形で、数度にわたり切り下げが行われてきました。

私が平成27年7月に大阪国税不服審判所の神戸支所から本所に配置換えの辞令交付を審判所長室で受けるために並んでいた時に、前に並んでおられた国税副審判官が辞職されることとなり、その辞令を受けておられました。

退職の辞令を受ける時には、併せて退職手当の辞令も受けるのですが、辞令を受けて退出されたその方に対して、ある国税プロパー職員が「退職金どうだった?最近は3,000万円には届いていないよな?」と聞いていました。

いわゆる「ノンキャリ」の国税プロパー職員は、最近でこそ退職手当水準の切り下げによって3,000万円に到達しないようですが、以前はその辺りの水準であったことをそのコメントによって知りました。

現職の国税プロパー職員からすると、「先輩達はもっとたくさん貰えたのに」という不満を潜在的に持っているようですが、民間レベル(特に会計事務所の職員レベル)からすると、まだまだ恵まれているようです。

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