【0201】国税不服審判所内部の事件配付方針(その1)



1.組織規模はまちまち

国税不服審判所は、財務省本庁舎内にある本部の下に、国税局(国税事務所)管轄に12の支部(各地域審判所)が存在し、原則として各地域審判所が自前の人的資源をもって裁決まで行っています
しかし、国税局(国税事務所)に規模の違いがあるように、各地域審判所も規模に大きな違いがあり、例えば東京国税不服審判所は120人を超えるのに対して、国税不服審判所沖縄事務所は所長(首席審判官)を含めても7人しかいません。
そうすると、各地域審判所に審査請求がなされたとしても、担当審判官(及び参加審判官を含む3名の審判官による合議体)にどのように事件が配付されるのかという方針は、その規模によってまちまちということになります。
ちなみに、「配布」ではなく「配付」と記載していますが、「配布」はビラの配布のように不特定多数に対するものであるのに対して、「配付」は特定の者に対するものであるとの意味の違いがあるようです。

2.小規模審判所の例

例えば、沖縄事務所の7人は、所長、管理担当審判官(部長兼課長兼係長)、2人の審判官、1人の副審判官、2人の審査官(うち1人は管理係兼務)という構成が想定されます。
そうすると、実際に審査請求事件が配付されて調査審理を行う(請求人面談や職権調査を行う)のは、2人の審判官又は1人の副審判官ということになり、それぞれの事件に3人の合議体を必要としますから、結局のところ、事件によって、2人の審判官が持ち回りで担当審判官を務め、担当審判官以外の2人は参加審判官となります(すなわち、合議体のメンバーはどの事件も同じになります)。
そして、調査審理の補佐は、2人の審査官が交互に務めることになるでしょう。

3.大阪国税不服審判所の組織体制

私が在籍していた大阪国税不服審判所は、東京国税不服審判所に次ぐ規模で総員70人超の組織です。
大阪国税不服審判所は、所長、次席審判官の下に5つの部(審理部、第一部、第二部、京都支所、神戸支所)と管理課が存在します。
審理部は法規審査が担当であり、実際に請求人面談や職権調査を行うのは、第一部、第二部、京都支所、神戸支所の4つになります。
各部(支所)には、部長審判官(支所長)、総括審判官、主任審判官、審判官、副審判官、審査官がいますが、合議体を構成するのは、このうち、総括審判官、主任審判官、審判官、副審判官になり、先の沖縄事務所の例よりはメンバーがいる(例えば、大阪本所の第一部及び第二部ではそれぞれ8名程度)ため、事件によって様々な合議体構成が考えられます。
そして、調査審理の補佐は、4人前後の審査官が順番に務めることになるでしょう。

4.審査請求事件の場所的属性による配付方針

京都支所は京都府・滋賀県にある計20の税務署の署長、神戸支所は兵庫県にある21の税務署の署長による不利益処分に対する審査請求が管轄になるのに対して、大阪本所(第一部及び第二部)は、大阪府、奈良県、和歌山県の計42の税務署の署長による不利益処分に対する審査請求が管轄になります。
ただし、稀に、支所に係属する審査請求事件が多くなり、支所は大阪本所(第一部及び第二部)ほどの定員がないため、一部は大阪本所が引き受けるというケースがあります。
また、大阪本所(第一部及び第二部)は、大阪国税局長による全管の不利益処分に対する審査請求も管轄になりますが、国税局長による処分は税務署長による処分よりも規模(争う税額)や難易度が一般的に高く、体制が支所よりも充実している大阪本所が引き受けることになります。
これ以外の属性による配付方針については(その2)においてご説明します。

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