1.元同期のOB税理士との旅行
≪問題≫
本科同班で、現在、利害関係者となっているOB税理士から旅行に誘われた。
この者が税務職員であったときから本科同班メンバーで数年に一度旅行に行く仲であり、私的な関係に当たるため、今回一緒に旅行に行っても倫理規程上の問題はない。
≪答:×≫
倫理規程では、「私的な関係」がある利害関係者との間においては、例外的に倫理規程上の禁止行為を行うことができることとされています。
しかし、「私的な関係」とは、「職員としての身分にかかわらない関係」をいい、職場での上司や同僚との関係、職務上の相手方との関係、職務として参加した研修仲間、職場のOBとの関係などは該当しません。
また、昔からの友人など、「私的な関係」があったとしても、禁止行為を行うことができるのは、国民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合に限られています。
なお、国税局によっては、OB税理士が一人でも出席する私的会合への出席は自粛を求めるところもあります。
2.利害関係者でない者からの供応接待
≪問題≫
たとえ利害関係者に該当しないとしても、職務上関係のある事業者から何度も食事をごちそうになることは、倫理規程上問題がある。
≪答:〇≫
相手が利害関係者ではない事業者等であっても、供応接待を繰り返し受けたり、高額の贈与を受けるなど、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待等を受けることは禁止されています。
これは、相手方が職員から何らかの見返りを受けることを期待してそのような行為を行っていることが疑われ、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがあるためです。
3.異動後の利害関係者の該非
≪問題≫
自分が異動した場合、異動前に利害関係者であった事業者等は、後任の職員にとって利害関係者である限り、異動後3年間は自分にとっての利害関係者とみなされるが、自分がその3年間のうちに更に他の部署に異動したとしても、当該事業者等は利害関係者とみなされる。
≪答:〇≫
異動前のポストで利害関係者だった者は、異動後3年間は、後任の職員にとって利害関係者である限り、引き続き利害関係者とみなされます。
これは、異動した後であっても、後任の職員に影響力を行使することによって職務の公正を歪めるのではないか、また、異動後間もない時期に、異動前のポストで利害関係者であった者から供応接待や贈答品を受領することは、異動前のポストにおける職務の執行の公正さを歪めていたのではないかとの疑惑や不信を招くことを考慮した規程です。
4.調査法人からの金銭の借入
≪問題≫
調査法人から無利子又は著しく低い利率で金銭の貸付を受けることは禁じられているが、通常一般の利子を支払うのであれば、調査法人から金銭の貸付を受けることは認められる。
≪答:×≫
利害関係者から金銭の貸付を受けることは、通常一般の利子を払うとしても認められません。
ただし、銀行等の金融機関が利害関係者に該当する場合については、一顧客として通常の利子を払う場合に限り、金銭の貸付を受けることが認められます。
5.第三者を招待するよう依頼する行為
≪問題≫
利害関係者である関係民間団体等から創立30周年の記念パーティー(立食)に招待されたが、その日の都合が合わなかったので、代わりにお世話になっている隣の部門の先輩を招待するようにお願いした。
このような行為は倫理規程の禁止行為には該当しない。
≪答:×≫
職員が利害関係者に働きかけ、職員本人ではなく第三者に倫理規程に定める禁止行為をさせるような行為は禁止されています。
これについては、その反倫理性の強さから、広く一般に配布される宣伝用物品や記念品の贈与、多数の者が出席する立食パーティー等での飲食の提供など、職員本人であれば認められるような行為であっても禁止されています。
6.「私的な関係」の範囲
≪問題≫
私的な関係がある利害関係者との間においては、禁止行為に該当する行為を行うことが認められる場合があるが、この「私的な関係」とは、親族関係や学生時代の友人など職員になる前からの関係をいうのであって、職員となった後に地域活動を通じて知り合った者との関係はこれには含まれない。
≪答:×≫
「私的な関係」とは、職務としての身分にかかわらない関係と定義されており、親族関係や学生時代の友人などは職員となる前からの関係がある者のほか、職員となった後に地域活動を通じて知り合った者なども私的な関係に該当します。
一方、職場の上司や同僚の関係、職務上のカウンターパートなどの関係は、私的な関係には該当しません。