【0224】口頭意見陳述の留意点(その6)

1.「口頭意見陳述の開催について」の送付

担当審判官による口頭意見陳述の期日及び場所等を決定後、分担者(担当審判官の命により調査審理を行う国税審査官)は、「口頭意見陳述の開催について」という書面を作成し、担当審判官の決裁を経た上で、これを審理関係人に送付します。
申立人が原処分庁に質問を希望する場合又は質問を希望しなくても口頭意見陳述の場に招集を求めた場合には原処分庁の担当者を招集させることになりますが、ここでいう原処分庁とは、例えば、税務署長、国税局長、税関長等をいい、原処分に係る調査の担当者本人や(事前に再調査の請求を経ている場合の)再調査の請求に係る担当者等ではありませんので、「口頭意見陳述の開催について」の宛先は飽くまで原処分庁とします。
しかし、税務署長等の本人が口頭意見陳述の場に出席することは100%あり得ず、実際には部下職員が出席することになりますので、実際に出席する部下職員の所属及び氏名を記載させる「出席者届出書」の様式とともに原処分庁に送付することになります。
なお、申立人が原処分庁の招集を希望しない場合には、原処分庁に「口頭意見陳述の開催について」及び「出席者届出書」を送付する必要はありません。

2.原処分庁の招集に係る留意事項

担当審判官は、申立人が原処分庁の招集を希望しない場合にも、その旨を電話等により原処分庁に連絡することになります。また、分担者は、補佐人の帯同申請に対する許否の通知をすることができる場合には、招集の通知に併せて通知することになります。

3.国税局の審理課職員が出席している

招集される原処分庁の具体的なメンバーは、税務署長等の原処分庁本人ではないにせよ、その部下職員たる不服申立担当者(各課税第1部門の不服申立担当調査官など)になります。
しかし、原処分庁たる税務署長等の直属の部下のみならず、税務署の上部組織である国税局の課税部審理課の不服申立担当者(主査又は実査官)も出席することがあります。
国税局の課税部審理課の不服申立担当者は、口頭意見陳述のみならず、審査請求人による審査請求書や反論書などの主張書面に対する答弁書や意見書の起案などについて、原処分庁の不服申立担当者に随時指導をする立場であり、申立人による陳述や質問内容を把握すべく、原処分庁の不服申立担当者に同席することが多いです。
申立人側とすれば「国税局の課税部審理課の不服申立担当者は厳密には原処分庁の担当者ではなく同席を認めるべきではない」という意見が発せられることも想定されますが、口頭意見陳述の場合には、国税局の職員に対して原処分庁たる税務署長等から併任発令がされていることから、原処分庁の部下職員とともに出席することについて、申立人側に事前に伝える必要はないこととされています。

4.総代以外の共同審査請求人

特に相続税事件においては総代が選任されるケースが多いですが、総代以外の共同審査請求人が口頭意見陳述への陪席(傍聴)を希望する場合には、担当審判官の判断により、その陪席(傍聴)を認めて差し支えないこととされています。
ただし、総代以外の共同審査請求人は、総代を通じてのみ審査請求に関する行為をすることができることから、これらの者は口頭意見陳述において発言することはできません。
なお、総代以外の共同審査請求人の陪席(傍聴)は、例外的に認めるものであることから、担当審判官は、会場等の関係や迅速な議事の促進の観点から、陪席(傍聴)を認める場合の人数についても、必要に応じて制限することができるとされています。

5.請求人が法人である場合の代表者以外の役員又は使用人

請求人が法人である場合において、代表者以外の役員又は使用人が意見の陳述を希望する場合には、原則として代理人の選任届が必要となります。
しかしながら、陳述する内容によっては、当該口頭意見陳述の機会に限り代表者に代わって意見を陳述する場合もあることから、このような場合には、担当審判官は、代表者から委任状を提出させた上で、当該役員等に代理人に準じて陳述することを許可しても差し支えないこととされています。

6.原処分庁質問書面の送付等

申立人から原処分庁質問書面が提出されている場合には、分担者は、その写しを「口頭意見陳述の開催について」に添付して、原処分庁に送付します。
また、「口頭意見陳述の開催について」を送付又は交付した後、原処分庁質問書面が提出された場合には、分担者は、「送付書」を作成して、原処分庁質問書面の写しを添付して、担当審判官の決裁を経た上で、原処分庁に送付します。
なお、担当審判官は、原処分庁質問書面のうち不相当(無関係な事項や誹謗中傷など)であるとして不許可とする質問事項がある場合には、申立人に対しその旨を説明し、併せて原処分庁に対しても回答不要である旨を伝えることになります。
この場合、伝達事項に遺漏がないようにするため、また、原処分庁に申立人の質問事項を知らせるため、担当審判官は、申立人からの質問事項の一部を許可しない場合にも、原則として、申立人から提出された書面の写しをそのまま原処分庁に送付することになります。

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