1.平成27(2015)年度改正
個人番号が導入されることに伴い、申告があった場合に税務署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により氏名及び住所等を確認することができることになったことから、住民票の写しや戸籍の附票の写しの添付を要しないこととされました。
なお、本特例は、国外に居住する者であっても要件を満たせば特例の適用が可能であることから、その者が個人番号を有しない可能性もあり、税務署長が個人番号で居住の事実を確認できない場合があることから、個人番号を有しない者にあっては、その者が特定居住用宅地等である小規模宅地等を自己の居住の用に供していることを明らかにする書類等を提出する必要があります。
この改正は、原則として、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第3号に掲げる規定の施行の日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。
2.平成30(2018)年度改正
持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例(いわゆる「家なき子特例」)の対象者の範囲から、次に掲げる者が除外されました。
・相続開始前3年以内に、その者、その者配偶者、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
また、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものは除かれます。)が除外されました。
更に、介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用することとされました。
この改正は、平成30(2018)年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。
ただし、家なき子特例の改正は、施行日から令和2(2020)年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得する財産については、施行日の前日において従前の要件に該当すれば適用することができます。
また、貸付事業用宅地等の事業的規模の改正は、平成30(2018)年4月1日前から貸付事業の用に供されている宅地等については適用されません。