1.局内職場研修の研修スケジュール
国税不服審判所職員に限らず、税務職員全体を対象とする研修が定期的に開催されます。
必ずしも必須ではないようですが、公務員になったことが新鮮だった任官1年目の私は手を上げて研修を受けることにしました。
私が受講した平成26事務年度の大阪国税局の研修については、以下の8項目でしたが、これを9:30~16:45までの間に詰め込んで1日で行うために、分刻みのスケジュール(もっとも短い研修で15分)でした。
❶メンタルヘルス研修
❷緊急対応研修
❸情報管理に関する研修
❹実績の評価研修
❺人権啓発研修
❻関係民間団体研修
❼税理士法研修
❽育児と仕事の両立支援のための研修
❺については公務員ならでは、❶❸❽については最近のトレンドでもあると思いますが、私の関心は❷❼にありました。
2.緊急対応研修
緊急対応を行う対象事案は、大別して以下の3種類があります。
❾職員の非行に起因する「非行関係原因事案」
❿災害・事故・犯罪などに起因する「災害・犯罪関係原因事案」
⓫事務処理の不適切などに起因する「事務処理関係原因事案」
こういった緊急対応事案が発生すると、税務署では総務課長が中心となって「当日中」に国税局に対する第1報そして事案の後始末を行うことになっています。
例えば、❿の例として、私が任官1年目に勤務していた大阪国税不服審判所神戸支所である職員が職場で倒れたことがありました。
周りの職員が介抱を行う一方、総括審判官は大阪国税不服審判所大阪本所に逐一架電し、救急車で運ばれるまでの状況の報告を行っていましたが、その総括審判官は大規模税務署の総務課長を2年間経験しており、危機管理について相当な意識をもっていることが横の席にいて伝わってきました。
また、⓫の例としては、「書類の送達を代理人とする申出書」が提出されていたのに、ある職員が書類を審査請求人本人に送達(いわゆる「誤発送」)してしまったときには、判明したその日のうちに、その担当審判官と審査官がタクシーを飛ばして(自腹です・・・)審査請求人宅に回収に行っていましたが、それについても大阪本所に逐一その経過を報告していました。
他にも、「災害発生時の対応」「公務執行妨害への対応」についての研修がありました。
3.税理士法研修
税理士の立場からすると、税理士を監督する官庁がどのような研修を行うのかについて大きな関心がありました。
時間は30分間のみだったのですが、税理士法1条(使命)・2条(業務)のほか、税理士に課せられている主な義務規定の紹介を行っていました。
もっとも興味深かったのは、税務職員が窓口業務・調査・滞納整理・電話・投書・風評などによって、税理士又はニセ税理士による税理士法違反の虞がある情報を把握した場合には、「税理士等情報提供せん」というシートを国税局総務部税理士監理官付の税理士係に送付するという仕組みがあることでした。
そして、税務署の筆頭統括官以上は、その税理士について国税局が得た情報などが記載されているページを貸与パソコンで閲覧できる権限があり、税務職員は税務調査に当たってその情報を参考にするといった仕組みがあるという解説を受けました。
私は、そのパソコンにどのような情報が記載されているのでしょうか・・・。
しかし、国税不服審判所からの貸与パソコンには、残念ながら(?)税理士の検索画面はなく、それを確認できないまま任期を全うすることになりました。