1.第31条(審判官の除斥)
審判官は、次の各号の一に該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が審判請求人若しくは参加人であるとき、又はあったとき。
二 審判官が審判請求人若しくは参加人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
三以下 略
2 前項に規定する除斥の原因があるときは、国税審判庁は、審判請求人、処分庁又は参加人(次条において「審判請求人等」という。)の申立てにより又は職権で除斥の審判をする。
2.第32条(審判官の忌避)
審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、審判請求人等は、これを忌避することができる。
2 審判請求人等は、事件について審判官の面前で陳述した後は、審判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りではない。
(コメント)
訴訟においては「除斥(一定の要件を満たし手続の公正さを失わせる恐れのある裁判官を、その手続における職務執行から排除すること)」「忌避(除斥事由には該当しないが、手続の公正さを失わせる恐れのある裁判官を、申立てに基づいてその手続に関する職務執行から排除すること)」「回避(自己について除斥事由又は忌避事由が存在すると考える者が、自らその手続に関する職務執行を避けること)」という制度があるようですが、現在の国税通則法においてはそのような制度は規定されていません。
しかし、内部の取扱いにおいて、その審判官が過去の課税庁側の経歴時にその原処分に関与している場合(直接その納税者に関与している場合の他に原処分の決裁ラインにあった場合も含みます)などにおいては、その事件に関与させないというルールは存在します。
3.第40条(証拠申出の順序)
国税審判庁が処分庁の主張を合理的と認めたときは、審判の請求をした者がまず証拠の申出をし、その後に処分庁が証拠の申出をするものとする。
2 処分庁は、前項の規定にかかわらず、随時証拠の申出をすることができる。
3 審判の請求の目的となった処分が次の各号の掲げる処分に該当するときは、第1項の規定にかかわらず、処分庁がまず証拠の申出をし、その後に審判の請求をした者が証拠の申出をするものとする。
一 国税通則法第68条の規定による重加算税に係る賦課決定
二 所得税法第150条又は法人税法第127条の規定による青色申告の承認の取消し
(コメント)
まずもって、審理の過程において「国税審判庁が処分庁の主張を合理的と認めたときは」という国税審判庁の部分的な心証開示を前提としているところに現在の制度からすると違和感を覚えます。
現在の証拠の提出に係る仕組みとしては、審査請求書の提出段階において審査請求人に努力義務としての証拠の提出を求め、次に、審査請求書に対する反論である答弁書の提出の際に、原処分庁に原処分の基礎とした証拠の提出を求めることになります。
そして、双方から提出された証拠については、相手方に直接共有されず、それぞれから閲覧請求があった際に開示されることになります。