1.不服申立制度は知られていない
租税の問題は、国民生活に深くかつ幅広い面で関わっているところ、専門的で複雑な面があるため、十分な理解を得られていない点もあるでしょう。
また、税務署長等が行った更正・決定や差押えなどの処分に不服がある場合の解決手段である不服申立制度の存在は意外と知られておらず、したがって、国税不服審判所が担う役割を果たすためには、その存在が広く認識されるとともに、不服申立制度についても理解してもらうことが必要でしょう。
そこで、国税不服審判所では、その存在そのものを広くPRすることに重点を置きながら、不服申立てをしようとする人には、次の点を分かりやすく広報することに努めているようです。
❶審査請求がどのような場合にできるのかといった手続的事項
❷裁判のような費用もかからず、簡単な手続でできること
➌納税者の不服の内容を十分聴いた上で、処分に誤りがあれば正しく迅速に直してもらえること
➍審査請求をしたことにより不利な取扱いを受けることはないこと。
また、現行の不服申立制度は、平成26年6月に改正され、平成28年4月から施行されたものであり、改正後まだ日が浅いため、制度改正の内容や審査請求に当たり必要な情報等について、懇切・丁寧な広報活動に取り組み、制度の円滑な運用と一層の定着に努めることとしているようです。
2.具体的広報活動・・・ポスターの配付
国税不服審判所は、各種広報媒体を通じ、以下のとおりの広報活動を実施してきました。
昭和45年の発足当初は、国税庁が作成したポスターにより、また発足後は、9回にわたりポスターを作成し、各支部を通じ税務署、税務相談室、市町村役場その他公共施設等に掲示していたそうです。
発足当時のポスターは、「審判所の発足」と「審判所は税務署・国税局から独立した機関である」ことをうたったものでした。
ポスターの図柄は発行の都度、一新されていますが、「納税者の権利救済機関」であるという姿勢は一貫してアピールしていました。
平成12年5月に作成したものについては、ホームページのアドレスをメインに掲載することで、国税不服審判所の存在をPRするよう努めました。
また、平成22年には、国税審判官への外部登用を拡大することとしたことを受けて、特定任期付職員の採用募集のポスターを作成し、より多くの民間専門家から応募してもらえるよう努めました。
3.パンフレット等の発行
国税不服審判所の概要や特色、国税に関する不服申立制度の概要や手続を分かりやすく記載したパンフレット(チラシやリーフレットを含みます)を作成し、納税者が自由に持ち帰って読めるよう各支部、税務署等の窓口に置くなどして、国税不服審判所への理解が深まるよう努めています。
パンフレットについては、昭和53年9月に作成して以降、随時改訂を行っていますが、特に、創設30周年を迎えた平成12年7月と創設40年目の平成21年7月には、大幅な改訂を行っています。
また、平成27年6月には、平成26年6月に成立した改正国税通則法の内容を周知するため、改正のポイントと改正前の制度、改正後の制度の両方を記載したパンフレットを作成し、平成28年1月にはデザインを一新しています。