【0267】国税審議会の組織(その5)

1.国税審査分科会における裁決事例の紹介

2020年に公表された「国税不服審判所の50年」を基に、過去の国税審査会又は国税審議会国税審査分科会でどのような意見申出事案又は裁決事例が紹介され、委員に内容共有されたのかについて、ご紹介します。

2.平成時代(国税審査会の平成8年以降)

第22回(1996/1/24)・・・裁決事例
・評価通達に定める路線価が実勢価格に70%の評価割合を乗じた水準に設定されているから、鑑定評価額に70%を乗じた価額を本件土地の評価額とすべきであるとの請求人の主張を退けた裁決について
・原処分庁が国税徴収法第24条の規定により、滞納者の譲渡担保権者である請求人(銀行)に物的納税責任を追及するための告知を行ったのに対して、請求人が滞納者等との間で締結している「一括支払いシステムに関する契約」の定めを根拠に物的納税責任の不存在を申し立てた裁決について
・取引先である外国法人の発注に基づき第三者を経由して輸出販売し、その代金を受領している取引は、輸出取引に該当するものの、請求人には、輸出証明書が交付されていないことから、消費税法第7条第1項に規定する輸出免税の適用を受けることはできないとした裁決について
第23回(1997/1/29)・・・裁決事例
・調停に基づく離婚慰謝料として譲渡することになったマンションの譲渡時期は所有権移転登記のときではなく、請求人の資産を搬出して当該マンションを相手方に引き渡したときであるとした裁決について
・ゴルフ会員権を買戻し条件付で譲渡したこととし、その譲渡損失につき、給与所得と損益通算して所得税の還付申告をした行為は、国税通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとした裁決について
第24回(1998/2/9)・・・裁決事例
・得意先から表生地の無償支給を受け、裏生地、芯地材及び副資材を自己調達してプレタポルテ(高級既製婦人服)を製造する事業は、第三種事業ではなく、第四種事業に該当するとした裁決について
・審査請求中に義務的修正申告書を提出しなかったことが国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に該当するとした裁決について
第25回(1998/10/16)・・・裁決事例
・債務者である代表者が債務超過に陥っているか否かの判断に当たり、代表者が所有する個々の資産、負債の評価は、代表者が所有する請求人の株式を含め、時価評価(純資産価額方式)によることが相当であるとした裁決について
・歯科技工を営む者が自ら原材料等を購入して、歯科補てつ物を製作し受注先に納入している場合の消費税の簡易課税制度における事業区分は、第四種事業(サービス業)に該当するとした裁決について
・重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在を必要としているものであると解されるところ、原処分庁はその行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできないとした裁決について
第26回(1999/2/22)・・・裁決事例
・米国内国歳入法401Kの掛金の拠出金は給与等の収入金額に当たるとした裁決について
・保証債務の履行に伴う他の連帯保証人に対する求償権については、当該他の連帯保証人は債務超過の状態にあり、求償権の行使は不可能であると認定して、所得税法第64条第2項の適用を認容した裁決について
第27回(1999/6/18)・・・裁決事例
・ゴルフ会員権の平日会員権から正会員権への転換のための資金の借入金利子が、使用開始の日までの期間に対応する部分について取得費に該当するとした裁決について
・パチンコ景品交換業務は課税取引に当たるとした裁決について
第28回(1999/11/29)・・・裁決事例
・特約店の廃業等を支援するため行った売掛金の減額処理は寄附金に該当しないとした裁決について
・ゴルフ会員権の三者間取引で買戻し条件付き売買で創出した譲渡損を認めないとした裁決について
第29回(2000/6/5)・・・裁決事例
・実質上の構成員として共同事業に参加した業者に外注費として支出した金額は交際費等に該当しないとした裁決について
第30回(2000/11/2)・・・裁決事例
・課税資産の譲渡等に係る消費税額の1円未満の端数処理について一部特例の適用を認めた裁決について
・いわゆるエスクロー契約が締結されている場合の株式等の譲渡に係る収入の計上の時期は株式等の引渡時であるとした裁決について

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