【0271】合議の開催

1.合議の区分

担当審判官は、合議体による意思決定事項について、適宜、適切な時期に合議を開催し、合議体の意思を決定します。
この場合において、適正・迅速な事件処理を図る観点から、担当部長審判官及び法規審査担当者の参加を要請します。
合議は、当初合議、中間合議、審理手続終結合議、最終合議及び文書会議の5区分とし、それぞれの目的、開催時期は下記のとおりですが、担当審判官は、各々の合議を併せて開催して差し支えないこととされています。
なお、当初合議は、原則として答弁書を収受した後、早期に、担当審判官が事件について争点及び争点ごとの調査方針を整理し、開催することになります。
担当審判官は、合議の開催に当たり、事前に「合議シート」を作成して、合議体内での主張整理(対比・分析)や釈明事項の検討等の調査・審理過程で、記載内容を適宜加除修正しながら活用していきます。
なお、請求人が課税等要件についての主張をしない事件や、単純な事実認定に関する事件、法令解釈が画一的で判断に疑いのない事件など、争点の設定や判断が容易な事件については「合議シート」の作成が省略されることもあります。
担当審判官は、合議の開催に当たって、原則として、各種主張に関する書面、証拠、参考裁判例・裁決例、審理関係人申請書・申立書、「事件検討表」、「合議シート」、「議決書」案等の使用する資料をその合議の概ね1週間前までに、参加審判官及びその合議に参加する者に配付します。
また、合議を終了した場合には、合議の検討内容(出席者の意見、結論)を、当初合議、中間合議及び審理手続終結合議にあっては「事件検討表」に、最終合議にあっては「事件経過記録表」に、それぞれ簡潔に記載して、参加審判官並びに必要に応じて担当部長審判官及び法規審査担当者に写しを配付することになっています。

2.各合議の目的と開催時期

担当審判官等は、当初合議、中間合議、審理手続終結合議及び最終合議の各段階において、事件が、重要先例見込事件等、本部照会事件又は情報共有事件に該当するかどうかを検討し、その結果を「事件検討表」等に記録することになります。
当初合議
答弁書を収受した後、担当審判官が考える争点を特定し、争点ごとの今後の調査方針を策定するに熟したと認めるときに、事件の配付後、担当審判官が整理したところに基づいて争点を確定し争点ごとに調査方針を策定するために開催します。
中間合議
例えば、争点を変更又は追加する必要があると認めるとき、新たな証拠及び事実関係が明らかになり、調査方針を再検討する必要があると認めるとき、先の合議において決定した法令解釈を変更する必要があると認めるときなどに、当初合議又は先の中間合議において確定した争点の変更若しくは追加・調査方針の再検討等のために開催します。
審理手続終結合議
必要な審理を終えたと認めるとき、国税通則法第97条の4第2項各号(審理手続の終結事由)のいずれかに該当するときに、審理手続を終結することの適否を決定するために開催します。
最終合議
議決をするに熟したときに、裁決の基礎となる議決をするために開催します。
文書合議
担当審判官等の各自が最終合議後に配付された「議決書」案について検討を終了したときに、「議決書」案を検討するために開催します。

3.合議に際しての心構え等

合議に当たっては、公正妥当な結論に到達するよう議を尽くすことはもちろんですが、その前提として、調査に当たる者は、判断の基礎となるべき十分な証拠資料等を収集し、合議の際には、予断をもって結論を誘導することのないよう心掛けるとともに、合議体構成員の各自が平等の権能に基づいて議決し得るよう、的確、公正に提示するように努めることになります。
そして、合議の充実は、審査事務運営上の重要な眼目であり、担当審判官等が十分に意見を開陳し、公正妥当な結論に到達するよう議を尽くすことによって果たされるものでしょう。

4.事件主任の設置

支部所長(各地域国税不服審判所長)は、必要があると認める場合には、事件の調査及び審理を行うほか「議決書」案の作成について担当審判官を補佐する者として、参加審判官のうち1名を事件主任に指名することができます。
国税不服審判所における事件の調査及び審理は、原則として、担当審判官1名及び参加審判官2名の合議により行われ、合議の活用と充実は、審査事務運営上の重要な眼目であるところです。
合議の充実は、合議体を構成する審判官(部長審判官及び副審判官を含みます)が十分に意見を開陳し、公正妥当な結論に到達するよう議を尽くすことによって果たされます。
そこで、合議体を構成する參加審判官の1人をその事件の主任に指定して運用することにより、合議の充実を図ることがあります。
この場合、担当審判官と事件主任との関係が問題となるところ、担当審判官は、合議体の中心又は代表として、合議を主宰し、また、事件の調査及び審理を推進するのに対し、事件主任は、合議体の構成員として事件の調査及び審理に当たるほか、「議決書」案の作成を担当することになります。
このように、合議体の構成において、担当審判官のほかに事件主任を設けることによって、合議体を構成する3人の審判官のうちの2人が合議に主動的に関与することとなり、これに他の1人の比較的客観的な関与が加わって、合議の充実を期そうとしています。
実際に事件主任が指定されるケースとしては、担当審判官が審判部の総括審判官や主任審判官であり、事件処理以外にも審判部内部の事務運営に関与することにより各事件の調査審理に割く時間が限られる場合に、合議体を構成する審判官や副審判官が指定されることが多いのではないかと思われます。

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