【0281】再調査の請求との関係

1.再調査の請求の適法性の検討

再調査の請求を経て行われた審査請求の場合においては、当該再調査の請求の適法性について検討することになります。
この場合において、例えば、国税通則法第77条第1項に規定する不服申立期間を経過した後に再調査の請求がされたときは、同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかを調査及び審理することになり、正当な理由があると認められない場合は却下することになりますが、正当な理由があると認められる場合には却下することなく担当審判官等による調査及び審理を行うことになります。
なお、不服申立期間を経過した後の再調査の請求について、「棄却」又は「一部取消し」の再調査決定がされている場合には、上記の正当な理由があるものとして取り扱います。
また、例えば、適法にされた再調査の請求について、再調査審理庁が却下の再調査決定をした場合であっても、当該再調査の請求は適法であることから、審査請求は適法であることを前提に実質審理されることになります。

2.再調査決定を経ずして行われた審査請求の正当な理由の有無の検討

再調査の請求をした場合には、国税通則法第75条第4項の規定により、原則として、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができないのですが、国税通則法第75条第4項第2号の規定に基づき、審査請求が再調査決定を経ないで、再調査の請求をした日(再調査の請求書の不備を補正すべきことを求められた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して3月を経過する以前にされたときは、国税不服審判所本部に照会の上で、同号の「再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由」があるかどうかについて検討することになります。

3.再調査の請求書と審査請求書が同時に提出された場合

納税者が再調査の請求と審査請求を同時にしたときについては、納税者に対し、審査請求を選択した場合には、国税通則法第110条第2項第3号の趣旨から当該再調査の請求は取り下げられたものとして取り扱われ、再調査の請求は再調査審理庁において審理されない旨説明し、再調査の請求と審査請求のいずれを選択するのかその意思を確認することになります。

4.審査請求先が適法であるかどうかの検討

国税不服審判所本部、支部(各地域国税不服審判所)又は支所が収受した審査請求書について、審査請求に係る原処分庁、処分の内容及び処分に係る教示に照らし審査請求が国税不服審判所長に対するものとして適法であるかどうかの検討は、国税通則法第75条及び同法第112条の各規定並びに国税通則法不服申立関係通達112-2の定めによって処理します。
この場合において、審査請求書の提出先は、原処分庁の管轄区域を管轄する支部以外の支部に提出されたときであっても、適法な審査請求にはなりません。

5.裁決済の処分についての審査請求でないかどうかの検討

審査請求の対象となった処分について、既に裁決がされている場合には、再び審査請求をすることができません。
これは、裁決を経た後の処分については、国税通則法に再審査請求をすることができる旨の規定がないことから、行政不服審査法第6条の規定による再審査請求はできないこととされています。
この場合において、再調査の請求後3月を経過する以前にされた審査請求を却下した裁決は、国税不服審判所長が審査請求において当該処分の適法性及び相当性について判断していないことから、その後、国税通則法第75条第3項又は第4項第1号の規定により再び審査請求がされたときは、裁決済とはならないことに留意する必要があります。

6.審査請求中の処分について再度審査請求されたものかどうかの検討

審査請求中の処分については再度の審査請求(二重の審査請求)はできないことから、審査請求がされた処分について、審査請求中のものであるかどうかを検討することになります。

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