【0286】審査請求書の補正(その5)

1.補正の対象にならないもの

審査請求の適法性を検討した結果、明らかに不適法な審査請求であると認めた場合には、審査請求書等に欠落又は不備があったとしても補正を求めないことになります。
審査請求書に記載した審査請求の対象とした処分以外の別個の処分を補正によって審査請求の対象に含めることはできません。
例えば、更正処分と加算税の賦課決定処分とが同時に行われた場合に、審査請求書の「審査請求に係る処分(原処分)」欄に更正処分のみの記載しかなく、「審査請求の理由」欄の記載からも加算税の賦課決定処分を審査請求の対象とする意思が読み取れないときは、加算税の賦課決定処分を補正により審査請求の対象とすることはできません。
この場合において、請求人が加算税の賦課決定処分を審査請求の対象としたいときは、別途加算税の賦課決定処分を審査請求の対象とする審査請求書の(法定期間内の)提出が必要となります。
また、更正処分と青色申告の承認の取消処分とが同時に行われた場合に、審査請求書の「審査請求に係る処分(原処分)」欄に更正処分のみの記載しかなく、「審査請求の理由」欄の記載からも青色申告の承認取消処分を審査請求の対象とする意思が読み取れないときは、青色申告の承認取消処分を補正により審査請求の対象とすることはできません。
この場合において、請求人が青色申告の承認取消処分を審査請求の対象としたいときは、別途青色申告の承認取消処分を審査請求の対象とする審査請求書の(法定期間内の)提出が必要となります。
そうはいうものの、上記の各例示の場合において、「審査請求の理由」欄等の記載から加算税の賦課決定処分又は青色申告の承認取消処分を審査請求の対象とする意思が明らかなときは、職権により補正することになります。
また、1通の審査請求書の趣旨において原処分の取消しと併せて(国税不服審判所に権限のない)再調査決定の取消しを求めている場合において、当該再調査決定の取消しの求めを補正することはできません。
なお、当該再調査決定の取消しを求める審査請求を取り下げない限りは、原処分に係る裁決に併せて当該審査請求を却下する旨の裁決をすることになります。

2.例外的措置

審査請求の対象については、前記1.のとおり、審査請求書に記載した審査請求の対象とした処分以外の別個の処分を補正により審査請求の対象に含めることはできないところ、国税通則法の不服申立関係通達92-1に「再調査決定について審査請求がされた場合においては、明らかに当該決定のみを争う趣旨のものでない限り、法第91条の規定に準じて再調査決定を経た後の処分についての審査請求とするよう訂正を求めることに留意する」旨の定めがあり、改めて「あなたは再調査決定を経た後の原処分の取消しを求めているのではないか。再調査決定の取消しを求めても原処分が取り消されるのではなく、国税不服審判所としては却下するほかなくなる」旨の指導を行い、原処分の取消しになるように補正を促すといった配慮が求められます。

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