1.平成26年〇月〇日
メンタルヘルス研修があり、支所長、総括審判官と自分が3人掛けテーブルで聞いていたが、「職場ストレス」についてはあまりネガティブなことを話す雰囲気はなかった。
その後、カウンセラーによる個人面談が20分間あったが、自分の顔色が良かったせいか、「あまり深刻な事情はなさそう」な前提で話をされてしまい。また時間が短いということもり、結局あまり深い話はできなかった。
(補足)
国税組織には様々な職場研修がありますが、ストレスのかかる職種であるためか、又は時代の流れか、メンタルヘルス研修と産業医による面談の機会はありました。
特に公務員という職務は、原則として自分ひとりで業務を完結することはできず、業務のラインに存在する職員をいったん敵に回すと、円滑な遂行がたちまち困難になり、それは国税不服審判所でも同様です。
「税務職員は、外部(納税者・税理士)よりも内部の方が数倍気を遣っているのではないか?」と思うこともありました。
2.主張整理の難しさ
A事件について総括審判官・審査官とミーティングしたが、求釈明事項にせよ質問事項にせよ、法令解釈案と判断案を自分なりに構築した上で必要な主張と証拠を収集しなければならない旨の指導を受けた。
求釈明事項・質問事項は結局それぞれA4判で1枚ずつになったが、これは不要かとか、この表現はダメかとか、考え方が全然整理できない。
原処分庁の主張書面をよく吟味すると、請求人が審査請求書では主張していない(異議調査では主張していた)ことを、答弁書で「請求人は・・・と主張している。」と書いてある箇所があり(原処分庁が異議決定書のコピー&ペーストをしているだけであり)、総括審判官いわく、当事者にやる気がない事案ほど慎重に検討しなければならないようである。
(補足)
国税不服審判所では、争点に対する両当事者の主張を対比できるように主張の補充をさせる問いを「求釈明」、証拠収集のための問いを「質問」と明確に区別していました。
国税不服審判所を経験すると、求釈明事項にせよ質問事項にせよ、審判官からの問いは「何となく・闇雲に」されているわけではなく、審判官の描く筋を検証するためのトライ&エラーとしてなされていることがわかります。
したがって、当事者は「審判官は何のためにこの問いを発しているのだろうか?」という姿勢を持ちながら回答に当たることが望まれます。
担当審判官としては、争点に対して両当事者の主張が明確に対比できるように主張の補充をさせなければならず、それに失敗すると、裁決書の両当事者の主張欄が歯抜けになったり、課税要件に無関係の主張が混在することになるのです。
この辺りの技術の涵養は、税理士・公認会計士の一般的な実務経験では難しく、弁護士出身審判官の知見に頼ることが多くありました。
3.タレ込みの電話
なぜか国税不服審判所に外部からタレ込みの電話があったが、審査官が内容を聞く前に国税局の代表電話に誘導していた。
税務署には昔からタレ込みが多いものの当たりは2割もなくガセネタがほとんどらしい。
ただし、「税務署が握りつぶした」と言われるといけないので、どんな情報も記録して報告を上げないといけないらしい。
特に総務課長は対応が大変なのが想像できる。
(補足)
国税庁のホームページには、「課税・徴収漏れに関する情報の提供」のページがあって、情報提供フォームに入力することによって情報提供ができるようになっていますし、面接・電話・郵送にも対応していますが、面接以外の手段による匿名の情報提供は、妬みなどによるガセネタが多いようです。
しかし、参考資料が添付された投書が契機となって調査に至り、不服申立てに発展した事案もあり、玉石混交のようです。