【0135】国税不服審判所の情報公開請求

1.情報公開法の施行

平成13年4月1日、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的として、いわゆる「情報公開法」が施行されました。
情報公開法では、何人も、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができ、行政機関の長は、開示請求があったときは、個人に関する情報や事務の適正な遂行に支障を及ぼすような情報などの不開示情報が含まれている場合を除き、開示請求に係る行政文書を開示しなければならないとされています。
国税不服審判所でも、情報公開法施行時より本部及び支部(支所を除きます)に情報公開窓口を設け、情報公開法に基づく開示請求に対応しています。
なお、国税不服審判所が行った情報公開法に基づく開示請求に対する開示決定等に不服がある場合には、国税庁長官に対して、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができ、審査請求を経ずに行政事件訴訟法に基づき訴訟を提起することも可能です。

2.情報公開法に基づく開示請求の受付状況

情報公開法施行当初、国税庁全体の開示請求件数に占める国税不服審判所の割合は低く、施行直後の平成13年度の開示請求件数は836件と国税庁全体の約4%程度でした。
しかし、平成17年4月にいわゆる「個人情報保護法」が施行され、また、平成18年4月以降は所得税法等の規定に基づく公示制度が廃止されたことに伴い、それまで国税庁における開示請求件数の大部分を占めていた公示関係書類の開示請求が激減しました。
そのため、国税庁全体としての開示請求件数は、平成16年度の50,872件、平成17年度の39,530件から打って変わって、平成18年度以降は3,000件前後の水準で推移していますが、国税不服審判所の開示請求件数は大きく減少することはなかったため、平成18年度以降国税庁全体の20%前後を占めています。

3.情報公開法に基づく開示請求の処理状況

国税不服審判所に開示請求される対象行政文書のほとんどは裁決書であり、裁決書には特定の個人や法人に係る情報が多く記載されていることから、「部分開示」と判断されるケースが必然的に多くなり98%程度を占めています。

4.個人情報保護法

個人情報保護法は、行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めており、国税不服審判所としても、同法の制定趣旨を踏まえ、審査請求人等に関する個人情報の適切な取扱いを徹底するために、職員研修や個人情報の管理状況についての監査・点検を実施するなどの対応をしています。
また、個人情報保護法に基づき、行政機関における個人情報の適正な取扱いを確認するため、何人も、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができ、行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求者以外の個人に関する情報や事務の適正な遂行に支障を及ぼすような情報などの不開示情報が含まれている場合を除き、開示請求に係る保有個人情報を開示しなければならないとされています。
国税不服審判所では、個人情報保護法の施行時より本部及び支部(支所を除きます)に個人情報保護窓口を設け、同法に基づく開示請求等に対応しています。
なお、国税不服審判所が行った個人情報保護法に基づく開示請求に対する開示決定等に不服がある場合には、情報公開法と同様に、国税庁長官に対して、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができ、審査請求を経ずに行政事件訴訟法に基づき訴訟を提起することも可能です。

5.個人情報保護法に基づく開示請求の受付状況と処理状況

受付状況については、国税庁全体に対しては平成17年度の施行当初以降概ね6万件前後の開示請求がなされていますが、国税不服審判所に対しては概ね10件前後と少ないものとなっています。
処理状況については、一般的に開示を請求する保有個人情報が記録されている行政文書は、審査請求人本人が提出した主張書面や陳述内容を記録した書類などが多いため、「全部開示」の件数に係る割合が高くなっています。

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