【0179】審査請求書の提出先・提出期間・代理人や総代を選任した場合

1.審査請求書の提出先

審査請求書は、原則としてその審査請求に係る処分をした行政機関の管轄区域を管轄する国税不服審判所の支部所長(首席審判官)に提出することになりますが、名宛人は国税不服審判所長(本部所長)になります。

例えば、麹町税務署長が行った更正処分についての審査請求書は、国税不服審判所長を名宛人として東京国税不服審判所長に提出することになります。

なお、納税者の便宜上、その処分庁(前記の例では麹町税務署長)を経由して提出することもできることとされており、この場合は、その処分庁に提出された時に審査請求がされたものとみなされ、直ちに管轄する国税不服審判所の支部(前記の例では東京国税不服審判所)に送付されます。

2.審査請求書の提出方法及び提出期間

審査請求書は、正副2通を国税不服審判所の支部又は処分庁に持参して提出するか、郵送等の方法により提出することもできます。

郵送等により提出された場合には、原則として、その郵便物の通信日付すなわち消印の日付の日に提出がされたものとして取り扱われます。

また、審査請求書は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)によって提出することもできます(ほとんど例がないと聞きます)が、この場合、受付システムのファイルヘ記録された日に提出されたものとして取り扱われます。

再調査の請求を経ずに直接行う審査請求については、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して3か月以内に、また、再調査の請求に対する決定を経て行う審査請求については、再調査決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内に提出しなければなりません。

したがって、この期間を過ぎて提出された場合は、国税不服審判所で収受はするものの、正当な理由があるときを除き、不適法な審査請求として却下することになります。

3.代理人

審査請求は、代理人によっても行うことができます。

実は、代理人になり得る資格については弁護士、税理士等に限定される旨の規定はなく、代理人としての資質を有する者(国税不服審判所や処分庁との遣り取りを円滑に遂行し得る者)であれば、例えば、高齢の審査請求人に係る子・孫等の親族が代理人になることができます

ただし、弁護士、税理士等の資格を有しない者が税務代理行為を業として行おうとすることについては税理士法の規定による制限があります。

代理人は、不服申立人のために、不服申立てに関する一切の行為をすることができますが、不服申立ての取下げ及び代理人の選任については、特別の委任を受けた場合に限り行うことができます。

なお、代理人を選任した場合には、委任状や代理人選任届出書等の代理の権限を証明する書面を添付しなければならず、その代理人が税理士である場合には、税務代理権限証書を添付することになります。

4.総代

多数人が共同して不服申立てをすることができる場合に当たるときは、3人を超えない総代を互選して不服申立てをすることができます。

共同して不服申立てができる場合とは、例えば、同一の被相続人に係る相続税の課税価格の合計額又は相続税の総額について、複数の相続人が不服申立てする場合など、複数の不服申立人が一つの処分又は同一の事実上及び法律上の原因に基づき、画一的に処理されなければならない複数の処分について共同して不服申立てをする場合などです。

総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為を行うことができます。

また、他の共同不服申立人は、総代を通じてのみ、不服申立てに関する一切の行為をすることができます。

これに対し、共同不服申立人に対する国税不服審判所長、支部所長及び担当審判官の通知その他の行為は、総代が2人以上選任されていても、1人の総代に対してすれば足りることになります。

なお、共同不服申立人が総代を選任したときは、審査請求書等に総代選任届出書等の権限を証明する書面を添付しなければなりません。

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