1.平成27年〇月18日
(補足)
ある審査請求事件の裁決に先立っての合議体(担当審判官・参加審判官2名)による議決の最終段階において、主文としては「棄却(納税者負け)」で一致しているものの、議決書の「理由」の書きぶりについて、担当審判官である総括審判官と参加審判官である副審判官の意見が一致していませんでした。
下記は、参加審判官(事件主担者)として総括審判官の指導を仰ぎながら事件処理を進めている私が両者の間に挟まれて苦悩していた時分の日記です。
前日の帰りがけに、副審判官が「これでA事件は今週中に議決ですな。そうしないと間に合わないですやん。」とやんわりプレッシャーを掛けられ、「どうしよう・・・。」と追いつめられたように帰宅し、夜は2時半頃に目が覚めてそのまま眠ることができなかった。
精神的にツライので、意を決して総括審判官を個室に呼んだ。
すると、「(根回し重視で、総括審判官の居ないところで指摘する)副審判官のことは気にしなくてもよい。自分の信念を曲げてはいけない。あなたが気を遣い過ぎているのは分かっているが、素晴らしいスキルを持っているので自信を持って良い。」と言われるとともに、「事件概要の把握の速さ、規定の理解度、相手への説明(プレゼン)の仕方など、私もいろんな審判官を見てきたが、あなたのような方はなかなかいない。」と言ってもらえた。
総括に自分の味方であることを表明してもらい、かなり気は楽になった。
議決書案について、副審判官が2~3質問の後に、「もうこれで十分じゃないですか?(何で議決しないんですか?)」とのコメントがあったので一安心した。
2.平成27年〇月19日
今朝は珍しく目覚まし時計が鳴るまで寝ることができたが、総括審判官との話と議決できそうな感じになってきたことから体が安心したのかもしれない。
朝から支所長室に議決書案を差し入れて、最終合議からの変更点のみを説明した。
副審判官にも「支所長に差し入れた議決書案です。」と渡したが、何やら鉛筆でコソコソ書いている様子・・・明らかな誤りでなければ、いまさら細かいこと言わないで欲しいのだが。
結局2か所指摘されたが、「まあ反映させて良いか。」という程度の内容であったので反映することにする。
審査官に国税不服審判所内部の裁決書・議決書の体裁チェックをしてもらった後の議決書案をもう一度チェックするが、結構ポロポロ修正箇所が出てきた。
議決を踏まえ、国税不服審判所のホームページに掲載される裁決要旨を考えるが、圧縮して概要を書くのが難しい。
特に、本件は請求人がいろんな(相互矛盾する)主張をしているので余計に難しい。
3.平成27年〇月20日
支所長も了承になったので、今日議決の運びとなった。
裁決要旨については、自分の案と審査官案の両論併記で総括審判官に見てもらうことにした。
最終の議決書案を副審判官に配布したところ、副審判官が審査官に「これについてあれダメこれダメ言ったら言いんやな?(もう言ってはいけないんだな?)」と言っていたが、もういいやと思って聞き流した。
審査官が慌てて議決のための一件書類を作成し、裁決のための決議書の様式について総括審判官から手直しを受けている。
自分は「まだかな~?」と待っていれば良いのかと思ったら、審査官がした証拠番号のチェックを総括審判官から言い渡され大急ぎで実施した。
すると、指摘箇所がボロボロ出てきて(たとえば、証拠内容について「判例No.2001~No.2020」とだけ書いてあって『特にNo.2010』というような特定がないとか)正直イライラしながらチェックして指摘した。
審査官は「ここまで書かないといけないのですか?」というような雰囲気だったが、審判所長に「この20ページ中から自分で探して!」とは言えないのだから当然だろう。
この時点で16時7分、大丈夫かな~?17時までに議決できるだろうか。
結局16時50分に担当審判官である総括審判官の議決書正本への署名押印を得て滑り込みセーフした・・・良かった。