1.平成27年3月〇日
今日で大学を卒業して丸20年が経過した。
卒業式の日にA君と話をした記憶があるが、自分は税理士、公認会計士を経由して国税審判官に、A君は国税専門官となり現在はある税務署の法人課税部門の上席調査官として、同じ国税庁職員になっているのが不思議な気がする。
(補足)
私が大学を卒業したのは、直前の1月17日に阪神淡路大震災、直後(3月20日)に地下鉄サリン事件が起こるというあまり良いとは言えない世相の頃でした。
私は、大学2年生の秋より税理士試験の勉強をしており、卒業の時点で3科目合格していましたが、A君を含めて公務員になる友人が多かったためか、「こんな、いつ合格するともしれない国家試験を受けていて良いのだろうか?」という思いを抱えて卒業式を迎えた記憶が蘇りました。
2.審判所長との意見交換会における発言内容の起案
民間出身国税審判官と大阪審判所長による意見交換会がいずれ開催されると思うが、その時になって考えても思いつかないため、言うことを考えていた。
「審判所の広報は納税者に対するよりも原処分庁に対して行う方が余程大事であろう。
納税者にとって審判所はセーフティーネットであり、原処分庁が適正な調査、処分をすれば審判所が登場する場面はなくなるとともに、審査請求に至る前に原処分庁が納税者を納得させることが理想である。
実際に『なぜこんな事件で審査請求にまで至ったのか。原処分庁はなぜ納税者を納得させられなかったのか。』という疑問を覚え、原処分庁の尻拭いをしているような事件もある。
むしろ、原処分庁に対して、『(審査請求や訴訟になっても困らないように)納税者にきちんと説明できる調査、処分をしてください。』と啓蒙する方が大事である。」
(補足)
「意外」というか「やはり」というか、「この証拠でよく不利益処分をしたものだな」と思うような事案はあります。
調査担当者としては、「まさか不服申立てはしないだろう」と高を括っていたのかもしれませんが・・・。
納税者救済機関である国税不服審判所でさえいろいろな納税者とまみえていたためか、まさに権力行政である国税局・税務署の職員が様々な属性の納税者に対応しなければならないことに一定の同情の余地がないわけではありません。
そうはいっても、徴税は国民の財産を合法的ながら侵害するものであり、より慎重な姿勢で国家権力を執行するというスタンスは必要でしょう。
「審判所定員は国税庁定員の1%以下であり、審判所を遠い存在と思っている国税職員が多く、かつ、原処分庁から『希望して』審判所に異動してくる国税職員が果たしてどれだけ居るか疑問である。
仄聞するところによると、審判所への異動が『出世コースから外れた(閑職に追いやられた)』と思う職員も居るようである。
審判所における経験を原処分庁に持ち帰ることによって、調査、処分の適正化に資することが、納税者の正当な権利利益の(事前)救済のためには必要であるし、審判所における経験をして自らの国税職員としてのキャリアアップにつなげたいという職員に異動して来てもらう(少なくとも民間出身の国税審判官はキャリアアップのために来ている)ためには、原処分庁に対する審判所の役割を広報する必要がある。」
という感じだろうか。
ただし、プロパー職員にモチベーションがないと言わんばかりなので、表現には注意しなければならないだろう。
(補足)
いわゆる「エース」と呼ばれる出世頭の税務職員は国税不服審判所には赴任してきません。
やはり、国税の花形は「税金を取る側」であって「納税者の権利を救済する側」ではないようです。
加えて、国税局・税務署と国税不服審判所では、部門長に配属される部下の数が違います。
例えば、大阪国税局の部長には数百人の部下職員がいるのに対して、大阪国税不服審判所の部長審判官には10数名の部下職員しかいませんので、こういった点からも、国税不服審判所の位置付けが低いのでしょう。
徴税する側の国税職員が国税不服審判所を経験することによって、帰任してから周囲の職員に「こんな調査をしていては(こんな証拠しか収集していない状態では)原処分は維持できないよ」というメッセージを積極的に発してくれると、それが納税者の正当な権利利益の(事前)救済につながるのですが・・・。
3.裁決事例は注目される
大阪本所の今週と来週の週間予定表を見ると、審判所長は休暇や挨拶回り(大阪法務局、大阪地裁、大阪高裁、大阪高検、大阪地検、神戸税関、財務局、大阪家裁、造幣局)の予定が目白押しであり、そろそろ終戦モードの様相である。
平成26年3月末までに保存期間満了を迎える行政文書の廃棄許可が内閣府からやっと下りたようであり、以後廃棄の指示が来るようであるが、そんなに時間がかかるんだ。
回覧で税務雑誌が回ってくるが、裁決事例をネタにした記事が多い。
当たり前なのだろうが、それだけ注目されているんだな・・・と思う。
特に取消裁決になると余計そうだろう。
(補足)
審判所長の異動時期の風景については、「【0101】裁決書決裁の『バスに乗り遅れる』(https://www.trusty-board.jp/blog/2427/)」を参照してください。
国税不服審判所には各種税務専門誌・法律雑誌が適宜回覧されており、税務専門誌にはやはり裁決事例を取り上げたものが多く、税理士業界における注目度と裁決書に自分が関与していることのキャリアの希少性を再認識していました。
一度、自分が関与した事案を取り上げた税理士先生・学者先生による研修会に潜りで参加して、どのようなコメントをされるのか聞いてみたい気がしていますが、まだ実現していません。