弁護士の先生へ

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弁護士先生の税務相談窓口

 

令和6年司法試験合格者のうち、租税法を選択した者の割合は3.89%(令和5年は4.49%)しかなく、大方の弁護士先生は労働法・倒産法・経済法・知的財産法を選択されるようです。

労働法などの方が取り扱う事案が豊富であるかもしれませんし、そもそも租税実体法のボリュームの多さに圧倒されるのは税理士が良く理解しています。

それでも、あるべき水準を超えて国家権力によって徴収された税額を回収し、納税者の権利救済を図る税務訴訟の社会的意義は大きく、その需要に対しては適切な人材が供給されなければなりません。

また、本格的な納税者の権利救済(事後救済)の局面に至らないとしても、税金のキャッシュアウトの多寡を考慮しない企業の経済活動はないといっても過言ではありませんし、相続関係の係争についても、最終的にクライアント様にどれだけの金銭が残るかを見積もる場合には、やはり相続税・譲渡所得の知識が必要になります。

このように、弁護士先生が扱われる法務分野のご相談に係る意思決定については、租税の取扱いを多分に考慮する場面が多く存在します。

 

しかし、このような税務関係のご相談を税理士にされるときに、

・税務はそうかも知れないけれど法務は考え方が違う

・税理士が言っていることの意味がわからない

といった印象を持たれることはないでしょうか。

 

翻って、税理士の側から見ても、弁護士について似たような印象を持つことがありますが、これは、

・弁護士に税務の知見がない

・税理士に法務の知見がない

ことに基因するものであり、お互いに相手の業務領域の基礎知識を備えていれば、適宜「翻訳」してコミュニケーションを取ることが可能になります。

 

私は、国税不服審判所の国税審判官を経験して、同じ立場の弁護士とともに国税に係る審査請求事件の調査審理に従事してまいりましたし、特に、私が在籍していた大阪国税不服審判所は歴代の所長が裁判官であり、法規審査部門にも裁判官が在籍するなど、裁判外紛争解決機関にどっぷり浸る環境で審理経験を蓄積してきました。

その効果は、審査請求事件の直接的な審理経験のみならず、職務上、法曹出身者とコミュニケーションを取ることによって、法務の思考を国税の審査請求事件の解決に落とし込み、法務と税務の考え方の橋渡しができるようになったことだと考えています。

 

例えば、弁護士先生による

・税務事件を受任したがクライアントの言い分が理解できない

・クライアントに対して自身の考え方を説明しているが全く理解してくれない

といったお困りごとがある場合には、是非弊社にご相談ください。

また、

・税務事件の見込みクライアントとの面談に先立って争いになっている規定の趣旨と体系を解説してほしい

・この経済事件について想定される課税関係を事前に把握しておきたい

といったご相談にも対応いたします。

 

 

 

紛争事案の相続税申告支援

 

弁護士先生が相続事案に関与される場合には、利害が対立している複数の当事者の一方について、相手方に対して当方により有利な交渉を行うことが典型的な場面であると考えられます。

その場合は、往々にして、受任している相続人の相続税申告を単独でいったん行い、その後に取り分が増減した場合に修正申告・更正の請求を行うことになると思われます。

しかし、我が国の相続税の計算体系は、要旨以下の内容であり、相続人(受遺者)全員の財産のラインナップと評価額の情報が全員に共有されることによって初めて正確に計算できる仕組みとなっています。

1.分割前の被相続人の相続財産を評価額とともに全て相続税申告書(第11表)に列記する。

2.課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出する。

3.いったん法定相続分で分割したと仮定して相続税の総額を算出する。

4.相続税の総額を各人別の課税価格に応じて按分する。

 そうすると、相続人間の関係が円満であれば特段問題はないものの、係争中の場合には以下の問題点が惹起され、それによって正確な相続税額の算定が阻害されることになります。

・相続人の一部が財産調査に非協力的でその者しか知らない財産を開示しない

・同じ財産(例えば土地)であっても相続人によって評価額に差異が生ずる

・当初は未分割となることが多く分割が要件の特例措置が適用できない

そして、その結果として、相続人間で課税価格を一致させるための税務調査を招来することになるほか、将来分割されたときに特例措置を適用するための手続を失念するといった不測の損害を相続人に負わせることにもなりかねません。

このように、たとえ弁護士先生が一方当事者の代理人であったとしても、相続税の申告手続について相手方の弁護士とコンタクトを取るケースも考えられますし、実際の申告手続に当たっては相手方の税理士の協力を取り付ける必要も生じるでしょう。

 

弊社では、

・弁護士先生が関与されている一方当事者に係る相続税の申告手続又はその申告方針の決定についてのご相談

・相手方の弁護士が依頼している税理士と交渉して「相続財産のラインナップ」「個々の財産の評価額」を一致させた相続税申告をするためのお手伝い

をさせていただきますので、是非お問い合わせください。

 

 

 

税理士補佐人の就任

 

平成13年の税理士法改正により、税理士による補佐人制度が創設されました。

税理士法2条の2に以下の条文が規定されています。

1.税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

2.前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取消し、又は更正したときは、この限りでない。

 

1項に規定する「租税に関する事項」とは、税務官公署に対する申告等又は税務官公署の調査若しくは処分に関する事項などの行政事件訴訟に限られず、税理士が租税法の適用を誤った場合の損害賠償請求訴訟、国税債権不存在確認訴訟、国家賠償請求訴訟、相続争いに伴う訴訟における租税に関する陳述等が含まれると解されています。

もちろん、租税法も数ある法律分野の1つであり、弁護士先生が訴訟代理の任として唯一の存在であることはいうまでもありませんが、各租税実体法の一部である特定の規定を更に課税要件レベルにまで掘り下げた各争点に対してまで、時に弁護士先生のみの知見で対応することが難しい場合があるのではないかと考えています。

こういった場合に、その税法規定を具体的な計数に当てはめて理解し、実務的な取り扱いを把握し、そして、申告書の読み書きができる税理士との協働が有効ですが、税理士には訟務経験がほぼないという弱みがあります。

このように、税理士補佐人の存在は税務訴訟における原告の活動において極めて有為ですが、いかんせん税理士の誰もが対応できるものではありません。

 

私は、国税不服審判所における担当審判官を経験して、本気で課税処分の取消しを獲得しようとする事案及び国税不服審判所内部で現実的に取消しの可能性の高い事案は、弁護士と税理士の双方が代理人に就任している傾向があると認識していましたが、これを訴訟のステージに当てはめれば、弁護士が訴訟代理人となり、税理士が補佐人としてサポートすることだと考えられます。

担当審判官としての訴訟指揮の経験を、税務訴訟を受任された弁護士先生に対するご支援に活かしてまいりますので、是非ご相談ください。

 

 

 

税務上の株価算定

 

弁護士先生が非上場企業に関与される場合や相続に係る紛争解決において被相続人が非上場企業を経営していた場合には、その企業の評価額を算定すべき場面に出会われることと思います。

しかし、その評価額はあらゆる場面で「一物一価」ではなく、譲渡・相続の場面でも異なれば、当事者が支配株主か否かによっても異なります。

そして、株式の移転を伴う以上、その取引に課税関係の考慮を無視することはできず、その課税関係による税金の負担を踏まえた意思決定を行う必要があります。

 

通常は、この株価算定業務については税理士に依頼されるケースが多く、その非上場企業の関与税理士が受任することが一般的と思われますが、税目横断的に判断すべき高度な業務でもあり、結果的に算定を誤ると利害関係者に不測の損害を与えることになります。

弊社では、税務上の株価の評価について、算定業務の他に、他の税理士が算定した株価水準の妥当性の検証についても承りますので、是非ご用命ください。

 

 

 

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